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【12年ぶりのPC購入】技術革新を考える

12年ぶりにPCを購入しました。Core i 第1世代 Arrandale から Core i 第12世代 Alder Lake に11世代分ジャンプです。12年間の技術の違いをみていきます。

はじめに

旧PC

2010年に購入したのが NEC Lavie LL750/AS です。

CPU Core i5 430M, メモリ 4GB, HDD 500GB、Windows7 64bit版。これで約11万円でした。長らく続いた Core2 から Core i 世代に突入した最初の世代です。

現在はメモリ8GB, SSD 250GBに強化しつつ、Windows11 を使用しています。Windows11 は完全にサポート外ですが、今年も回避策により最新のOSが使えているのは驚異的です。

新PC

今回購入したのは DELL Inspriron 14 5420です。

CPU Core i5 1235U、メモリ16GB, SSD 500GB, Windows11 です。これで約9万円。今回は Office を購入しなかったので、買っていたら旧PCとほぼ価格帯は同じです。

なぜ今購入したのか ?

自作ソフト開発や仮想マシンを使ったりしているのですが、さすがに遅く感じていることと、メモリ8GBでは 仮想マシンを駆動するにはきつくなってきたのがあります。あと、決定的だったのが円安の影響です。円安が止まることなく進み続けており、PCの価格が上がるのも時間の問題となってきました。Raptor Lake まで待つとあと半年は待たねばならず、その時に今の金額で買えるのかと考えると・・・・たいして性能が変わるわけではないので購入することにしました。

CPU

Core i5 430M から Core i5 1235U には多くの変化点があります

コア数

Core i5 430M

2core 4thead 構成です。

Core i5 1235U

10core 12thread 構成です。コア数が圧倒的に多いのが特徴です。

x86命令の同時デコード数

4 から 6に増強されています

uops キャッシュ(L0)

これが最大の変化点といってもいいくらいのインパクトがあります。

現在の Intel, AMDのCPUは x86 命令は仮想的なコードに過ぎず、uops と呼ばれるCPU内部だけのコードに変換されます。そのあと、依存関係がない命令を抽出して複数の命令を同時実行することで速度を向上させています。x86コードは互換性のためだけに存在するわけです。

このような構造は複雑なため、ARM などのシンプルなCPUに比べて消費電力が高くなります。

430Mでは LSD (Loop Stream Detector) と呼ばれるループ構造を検知し 28uops 分キャッシュする機能がありましたが、1235Uでは 4Kuops 分のキャッシュがあります。キャッシュにヒットしている間は 複雑な x86 命令をデコードする必要がないため、性能と省電力の両方に大きく貢献する技術です。

L1 キャッシュ

32KBから 48KBに増強されています。思ったよりは変化が少ないです。

L2 キャッシュ

256KBから 1.25MBに増強。大きく容量アップしています。

L3 キャッシュ

3MBから 12MBに増強。GPUのキャッシュも兼ねています。

ポート数

uops コードを実行するユニットモジュールの数です。 430M の 6ポートに対し、1235Uでは12ポートと倍増しています。

big.LITTLE

Alder Lake は x86 CPUとしては初の、高性能コアと、高効率コアの2種類の異なるスペックのコアを搭載しています。高性能コア(Golden Cove)は Arrandale コアの進化版です。高効率コア(Gracemont)はATOM系のコアです。Gracemont は専有面積の関係から uops キャッシュは搭載されず、x86命令は毎回デコードすることになります。その対策としてデコーダ部に OD-ILD が搭載され命令長をキャッシュするようです。可変長のため命令の区切りを見つけるのに時間がかかるのがx86の最大の欠点なので、それの緩和策です。

big.LITTLE と呼ばれる高性能コアと高効率コアの組み合わせは ARM により確立されましたが、昔の記事を見ていたら Intel のメニーコアのビジョンとしてまさにこの形が提起されていました。

2005年、後藤弘茂さんの記事に タイトルは「見えてきたIntelの5~10年後のCPUアーキテクチャ」。当時は Pentium4 Prescott の大爆死によりシングルスレッドの性能から、メニーコアに大きくシフトした時期です。それが17年後に実現するとは感慨深いものがあります。

後藤弘茂のWeekly海外ニュース

ベンチマーク

CPU-Zベンチマーク機能の結果は以下になります。

Core i5 430M Core i5 1235u 倍率
シングルスレッド 197.3 643.8 3.3
マルチスレッド 563.5 4171.4 7.4
マルチスレッド比率 2.86 6.48 2.3

シングルスレッドで3倍の速さなので体感速度でもはっきりわかるレベルです。マルチスレッドに関してはコア数の多さが大きく貢献しています。

しかし、12年で3倍というのは思ったよりは差異が無いように感じます。これは Intel が 14nm への移行に多大な遅れが生じ、技術的な停滞時期が続いた影響が大きいと思っています。ここ数年は Ryzen の躍進により Intel もうかうかしていられる状況ではなくなり、Alder Lake はそんな中での Intel の本気度が見えるCPUです。

pmp-style.hatenablog.com

メモリ

標準的なPCでのメモリ搭載量は 4GB から 8GBに変わりました。12年でたったの2倍しかなっていません。旧PCは今は8GBに増強してあるので結局メモリ関しては変化なしです。

HDD(SSD)

標準的なPCでは、HDD 500GBから SSD 250GB に変わりました。こちらもメモリと同様にほとんど進歩が止まっている点です。旧PCは SSD 250GB に増強していますのでこれまた変化なしです。

最後に

12年の開きがある割には PC の技術革新が停滞気味に感じました。それがゆえに、12年前のPCに最新OSを入れてそこそこ使えてしまうわけです。1990, 2000年代には考えられない状況です。

今から10年後の 2032年にはどんな時代になっているでしょうか。