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Intel CPUとAMD CPUの俯瞰(Sky Lake~Meteor Lake, Ryzen)

2015年からのIntelAMDのCPUの大きな流れを俯瞰してみます。Intelが10nmで大きなつまづき、AMDの怒涛のRyzen攻勢、Intelの復活劇が見えてきます。

2022/10/22 ここ1年の動向を追記しました。

俯瞰図

Intel

2015年

Sky Lake 第6世代 Sky Lakeコア 14nm
Sky Lakeアーキテクチャの初代。先代のBroadwell は14nmの生みの苦しみを負い、数ヶ月後にSky Lakeが登場しました。今思うとこの頃からプロセス技術開発に遅延が始まっていたのですね。

2016年

Kaby Lake 第7世代 Sky Lakeコア 14nm+
プロセス最適化により若干の周波数向上。
2017年の10nm Cannon Lakeまでの中継ぎとして登場。これで14nmは最後の予定だったのだが…

2017年

Coffee Lake 第8世代 Sky Lakeコア 14nm++
10nm Cannon Lake はさらなる遅延を起こし、中継ぎの中継ぎとして登場。この年、Ryzen 登場によりintelは極度の緊張状態になり、なりふり構わない拡張が行われるようになる。これは爆熱Prescott 時代に、Athlon64x2 に完敗していた頃を彷彿させる。

これまでデスクトップは4コア、モバイルは2コアが長らく続いた伝統だったが、それぞれ6コア、4コアに増加した。もちろんこれは Ryzen 登場の影響が大きい
Sky Lakeコアのままなので、その分大面積は大きくなり消費電力も増加した。

2018年

Coffee Lake Refresh 第9世代 Sky Lakeコア 14nm++
Ryzen パワーに押されまくり、8コアに達した。PentiumDを見ているようだ。
世代は9になったがもはや年ごとに増えるただの数値と化していて、何が違うのかがよく分からなくなる。

Cannon Lake 第8世代 Sky Lake コア 10nm
Intel初の10nm品。GPUなしのCore i3限定だったのは歩留まりがよほど悪かったのでしょう。黒歴史行き。無かったことにされています。

2019年

Comet Lake 第10世代 Sky Lakeコア 14nm++
Ryzen対抗のため10コア、シングルターボ5.3GHz, オールターボ4.9GHzを達成。Zen2に対してはゲーム性能では勝っており、やはりintelは強い。
しかし、Zen3 ではついに負けることが多くなり、いよいよ限界に達した。Zen3は7nmですから、競っている時点で凄い。
こうして5年間続いた Sky Lake コア 14nm世代は終焉を迎える。

Ice Lake 第10世代 Sunny Coveコア 10nm+
10nmのスケールメリットを生かして、新しいコアである Sunny Coveが搭載された。Sunny CoveはSky Lake の1.18倍のパフォーマンス。 しかし、熟成された14nmに比べて熱量が多く性能が出ないため、ハイパフォーマンス系はComet Lakeである。

2020年

Tiger Lake 第11世代 Willow Coveコア 10nm++
Willow CoveはSky Lake の1.25倍のパフォーマンス。徐々に10nmでのパフォーマンスが上がってきています。 10nm++となり、周波数も上がってきている。 それでも、ハイパフォーマンス系は14nmのComet Lake 頼みである。難産の10nmは熟成にも時間がかかりそうだ。

2021年

Rocket Lake Cypress Cove 14nm+++
最後の14nm CPUです。

Sky Lakeコアでは限界までドーピングしたがRyzenに勝てなくなりつつあり、いよいよ10nmでの技術を移植するに至る。
10nmのSunny Cove, Willow Coveを14nmへ展開し Cypress Cove と呼ぶ。一方でコアサイズが増える分コア数は10から8に減ってしまった。結果はシングルスレッドは高速になったが、マルチスレッド性能は落ちてしまう結果となった。14nm の限界です。

Alder Lake Golden Cove, Gramemont Intel7
Intel の本命登場です。デスクトップ、モバイルをすべてが Alder Lake により合流しました。

PC業界初の big.LITTLE 構成のCPUが登場しました。
性能を重視した今までの Core アーキテクチャの流れをくむ Golden Cove と、消費電力を重視したATOM系の Gracemont の混合CPUです。
これにより、シングルスレッドはAMDを凌駕しつつ、マルチスレッド性能も劇的に改善しています。

このモデルより Intel の10nm品は Intel7 と呼ばれるようになりました。もともとIntel と他社では同じ数値だと1プロセス分の開きがあるといわれていたので、それをもとにした名称です。名目上は Ryzen の7nm同等という触れ込みです。

2022年

Raptor Lake Raptor Cove, Gracemont Intel7
Alder Lake に対しキャッシュの増量など施したマイナーチェンジ版です。

2023年

Meteor Lake Intel4

AMD

2017年に激震が走りました。AMDRyzen です。前世代のBulldozer では大失敗をやらかしましたが、今回は天才ジムケラーが手がけ Intelを凌駕するほどのパフォーマンスです。
CPUのアーキテクチャはuOps Cache を内蔵しintelとかなり似通ってきています。最大の特徴はCCXによるCPUコアのブロック化です。これによりスケーラビリティーが上がり、大幅なコア数増加をもたらしました。
1年ごとに新しいコアが登場し、微細化も順調に進んでいます。Zen3でIntel CPUをほぼ超えたといっていいでしょう。
2021年登場予定のZen4 5nm に移行する予定であり、あわせてパフォーマンス向上、省電力化に期待できます。

2017年

Summit Ridge Zen 14nm AMD起死回生のZenアーキテクチャの新CPUです。シングルではintelに負けますが、コア数の多さでは勝っています。Ryzen 7で8コア、Ryzen3 でも4コアです。intelも無視できずに対抗していくことになります。 4コアで1モジュール(CCX)を構成し、CCX内のコアは3次キャッシュを共有する。モジュール化によりコア数の増加が容易となり、ThreadRipper では16コア品が登場して世間を驚かせた。 intel CPUはこのようなモジュール化はされていないため、スケーラビリティに劣る。 一方で、複数のCCXがある場合、CCX間をまたぐアクセスがあるときにはペナルティが入る。そのため常に一定の高パフォーマンスが求められるゲームでは Intel には敵わなかった。 コア数は多いがシングル性能ではintelは超えられず、スレッドを多用する動画エンコード向けという印象が強かった。

2018年

Raven Ridge Zen 14nm APU Radeon Vega を統合しています。intel のコアシリーズよりもGPUパワーがあるのが特徴です。

Pinnacle Ridge Zen+ 12nm 12nmに変更により、高クロック・省電力化。 Zen+コア自体は変わらず、メモリやキャッシュのレイテンシを削減している。

2019年

Picasso Zen+ 12nm APU GPU無しのコアがリリースされた翌年に、GPU統合版であるAPUがリリースされるのが定番となる。CPU, GPU高クロック化と省電力化している。

Matisse Zen2 7nm TSMCの7nmに変更。アーキテクチャが更新と共にプロセスの微細化も進んでおり、intelと違い順調さが分かる。 CPUコアチップとI/Oチップが分離され、プロセスルールが特に効果が期待されるCPUコアに7nmを採用した。CCX単位でのマルチコア化が容易となる。

2020年

Renoir Zen2 7nm APU

Vermeer Zen3 7nm CCXの単位を4コアから8コアに変更された。家庭用のPCでは8コアもあれば十分なため、事実上CCX間のアクセスのペナルティが見えなくなっている。これによりパフォーマンスが改善され、弱点だったゲームでも多数がintel を超えるようになった。この高性能によりAMD CPUの供給不足になった。
Intel は14nmのcomet lakeで戦って善戦しているのは凄いところだ。コア自体は2015年のものですから。

2021年

Cezanne Zen3 7nm APU Zen3 の APU 版です。CPU性能、省電力性ともに申し分なし。しかし、周辺デバイスが古くなってきておりバランスが取れなくなってきています。 特に、GPUはVEGAのままで IntelTiger Lake に逆転されました。

しかし、一般用途向けのノートPCとしては十分な性能を有しており、HP, DELL などからコストパフォーマンスが高い機種が販売されています。

2022年

Rembrandt Zen3+ 7nm APU RyzenのAPUに大きなテコ入れがされました。CPUが ZEN3+、GPUにRDNA 2、DDR5、PCI Express 4.0 対応などです。

ノートPCでもハイクラス品です。


Zen4 5nm CPU Ryzen が一足先に 5nmに移行します。Raptor Lake と真っ向勝負です。

その先の話

Ryzenを製造しているTSMCは2021年に3nm品の生産が始まる予定だ。Zen5かZen6には3nmに移行するでしょう。
Intel の7nm化は2023年が確定したが、TSMCも活用するらしく AMDにいつ追いつけるかが気になるところです。プロセス技術では絶えず最先端を走っていたintelがこの状況になるとは思わなかった。