PMBOK ガイド第7版が2021年に発行される見込みです。第6版までは旧版のブラシュアップでしたのでベースの考え方は変わりませんでしたが、7版では根幹的な変革になります。このページでは7版情報随時アップデートしていきます。
2021年1月にPMP試験内容の見直しが入りました。約半数がアジャイルなどウォーターフォール以外の手法に関する出題になっています。PMBOKは6版がベースですが、出題の傾向は明らかに7版を見据えた方向性であることが分かります。
- 1. 変更概要
- 2. 発行時期、PMP試験の適用時期
- 3 プロジェクトマネジメントの原則(Project Management Principles)
- 3.1 スチュワードシップ(Stewardship)
- 3.2 チーム(Team)
- 3.3 ステークホルダー(Stakeholders)
- 3.4 価値(Value)
- 3.5 システム・全体的思考(Systems/Holistic Thinking)
- 3.6 リーダーシップ(Leadership)
- 3.7 テーラリング(Tailoring)
- 3.8 品質(Quality)
- 3.9 複雑性(Complexity)
- 3.10 リスク(Risk / Opportunities & Threats)
- 3.11 適応性と回復力(Adaptability & Resilience
- 3.12 変更管理(Change Management)
- 4. プロジェクト・パフォーマンス・ドメイン(Project Performance Domains)
1. 変更概要
今までのPMBOKのプロジェクトはウォーターフォール型です。綿密な計画を立て、進捗に合わせて軌道修正しながらプロジェクトを進めるやり方です。6版で別冊でアジャイル手法に触れられてはいますがいびつな形でした。7版ではそれらを統合してウォーターフォールもアジャイルも同等の扱いとなり、より高い視点でのプロジェクトマネジメントについての記載になります。
プロセスベースから原則ベースに記載内容が変わり、今までの「5つのプロセス群」と「10の知識エリア」は、それぞれ「12の原則」と「8のパフォーマンスドメイン」に変更になります。
これまでの知識がすべてなくなるかというとそうではありません。PMBOKガイドとは別に、PMIstandards と呼ばれるデジタル製品で引き続き残るようです。ウォーターフォール型のプロジェクトを否定しているわけではないので、当然PMPの試験にも適用されるでしょう。
2. 発行時期、PMP試験の適用時期
第7版の発行時期はまだ正式には決まっていませんが2021年中には発行されるようです。
前回の6版の時のパターンが参考になります。
2017年9月 PMBOKガイド6版 英語版発売
2018年1月 PMBOKガイド6版 日本語発売
2018年4月 PMP試験へ適用
これと同じようなパターンだとPMBOK7版のPMPへの適用は2022年の4月頃になります。まだ1年以上あるので今資格取得を検討している人は6版で受ける方が良いでしょう。
3 プロジェクトマネジメントの原則(Project Management Principles)
PMI倫理規定との関連を強く感じます。今までの5つのプロセス群とは異なる概念です。
3.1 スチュワードシップ(Stewardship)
勤勉で、敬意を払い、思いやりのあるスチュワード、スチュワーデスになること。
カタカナにされてもよく意味が分かりませんね。「委ねられたものを責任を持って管理する」という意味です。
元はキリスト教文化からきています。この世のすべてを創造した神が委ねてくださった恵みを、人間は責任を持って管理しなければなりません。それが教会やクリスチャンの使命です。
男性なら「スチュワード」、女性なら「スチュワーデス」です。旅客機の搭乗員の名でおなじみですね。
なんとなくイメージがついたでしょうか。「委ねられたプロジェクトを責任をもって管理する」。
理解できるとなかなかいい言葉ですね。
3.2 チーム(Team)
説明責任と尊敬の文化を構築する。
3.3 ステークホルダー(Stakeholders)
ステークホルダーに興味とニーズを理解させること。
3.4 価値(Value)
価値に焦点を合わせる
3.5 システム・全体的思考(Systems/Holistic Thinking)
システムの相互作用を認識して対応する
3.6 リーダーシップ(Leadership)
やる気を起こさせ、影響を与え、指導し、学習する
3.7 テーラリング(Tailoring)
内容に応じて開発アプローチを調整する
3.8 品質(Quality)
プロセスと結果に品質を組み込む
3.9 複雑性(Complexity)
知識、経験、学習を使用して複雑さに対処する
3.10 リスク(Risk / Opportunities & Threats)
機会と脅威に対処する
3.11 適応性と回復力(Adaptability & Resilience
順応性と回復力をつける。
3.12 変更管理(Change Management)
想定される未来を達成するために変更を可能にする
4. プロジェクト・パフォーマンス・ドメイン(Project Performance Domains)
プロジェクトを効果的に遂行するためのグループです。
6版までの知識エリアのかわりになる概念です。
4.1 ステークホルダ(Stakeholder)
ステークホルダーとのより良い関係性を気づきます。6版のステークホルダーマネジメントと同じです。